再起

転職は「再起の手段」 ──28歳フリーターから地続きで考えていること

一般的に、転職は
キャリアアップや自己実現の手段だと言われます。

年収を上げるため。
やりたい仕事をするため。
自分らしく働くため。

そういう文脈で語られることが多いと思います。

ただ、私にとって転職は、
そのどれでもありませんでした。

28歳までフリーターで、
就職経験もなく、
再起を誓った当時の自分にとって、
転職という選択肢は現実的ではなかったからです。

それでも、
そこから働き続け、実務を積み、
環境を変えるところまで辿り着いた今、
はっきり言えることがあります。

私にとって転職は、
人生を変えるための行為ではなく、
28歳のときに決めた「再起」を
途中で終わらせないための手段でした。

会社の規模は変わりました。
責任も増えました。
見える景色も、確かに広がりました。

それでも、
やっていることの本質は変わっていません。

再起を途中で終わらせないために、
時間の大部分を使う場所を
選び直しただけです。

この記事では、
37歳で初めて転職した私が、
なぜ転職を「キャリアアップ」や「自己実現」ではなく、
再起の手段として捉えているのか。

28歳のフリーター時代から地続きの思考として、
その判断と変化を整理していきます。

転職を勧める記事ではありません。
ただ、
「この捉え方でもいいのか」と
一度立ち止まる材料になれば幸いです。

本社異動と6年間の実務がくれた「考える土台」

28歳で再起を誓ってから、
私はすぐに転職を考えたわけではありません。

むしろ逆で、
「まずは働き続けるしかない」
という状態でした。

清掃の現場で働き、
契約社員になり、
その後、正社員として本社に異動しました。

そこから約6年間、
私は経理として実務を積み続けました。

派手なキャリアではありません。
毎月の締め作業、
数字のチェック、
現場とのやり取り。

地味で、
積み上げないと何も残らない仕事です。

ただ、この期間がなければ、
転職を「判断」することすらできなかったと思います。

転職は、
思いつきや勢いでやるものではありません。

少なくとも私にとっては、
「動いても崩れない状態」になるまでの
助走が必要でした。

6年間の実務経験は、
自信というより、
「考える土台」をくれました。

自分は何ができて、
何ができていないのか。
どこまで通用して、
どこから先が足りないのか。

それを冷静に考えられるようになった。
それが、この期間の一番の収穫だったと思っています。

それでも転職は、ずっと怖かった

実務を積んでも、
転職への恐怖が消えたわけではありません。

むしろ、
考えられるようになった分、
怖さは具体的になりました。

自分の市場価値を見るのが怖い。
これまでの経歴を、
第三者に評価されるのが怖い。

大学卒業後の6年間の空白期間。
就職活動をしなかったこと。
28歳までフリーターだったこと。
それを説明する場面を想像するだけで、
気持ちが重くなりました。

世の中には、
「35歳転職限界説」
という言葉もあります。

当時の私は37歳。
初めての転職活動で、
なんなら就職活動自体も初めて。

不安しかありませんでした。

「落ちる前提で動くことになるんだろうな」
そんな覚悟をしながら、
それでも動かずにはいられませんでした。

やらない後悔だけは残したくなかった

転職を決めた理由は、
勇気でも、自己実現でもありません。

どちらかと言えば、
消去法に近いものでした。

何も選ばずに時間だけが過ぎること。
その結果、
「選ばなかった自分」を
後から責める未来のほうが怖かった。

自分の市場価値を見るのは怖い。
落ちるのも怖い。
否定されるのも怖い。

それでも、
動かないまま歳を重ねて、
「あのとき何もしなかった」と思う自分は、
もっと見たくありませんでした。

だから、
再起の手段として、
環境を変える選択肢を
一度、現実のテーブルに乗せただけです。

落ちた。評価されなかった。それでも地続きだった

実際、
転職活動は順調ではありませんでした。

年齢に対して、
実務経験が薄いと判断され、
落ちた会社もあります。

「やっぱり無理だったか」
そう思った瞬間もありました。

でも、不思議と
再起が折れる感覚はありませんでした。

落ちたからといって、
それまで積み上げてきたものが
消えるわけではなかったからです。

28歳から続けてきた
「働き続ける」という選択は、
転職の成否に関係なく、
地続きで残っていました。

半年経って、見え始めた景色

転職して、
半年が経ちました。

年収は結果的に上がり、
働く環境も、以前とは違う場所になりました。

連結決算に携わり、
開示業務にも関わるようになりました。

決算短信のアップロードを終えたとき、
「10年前には想像できなかった景色だな」
と、ふと思いました。

ただし、
これは成功談ではありません。

間違えれば株価に影響する。
その恐怖は、今もあります。

まだ手探りです。
自分一人で判断できているとは言えません。

それでも、
視界が確実に広がっている感覚はあります。

そして何より、
28歳の頃から
何かが断絶したわけではありません。

あのとき決めた
「再起を終わらせない」という選択が、
形を変えて続いているだけです。

転職は再起の手段

一般的に、
転職はキャリアアップや自己実現の手段だと
言われます。

それはそれで、
間違いではありません。

ただ、
私にとって転職は、
28歳のときに決めた再起を
続けるための手段でした。

働く場所は変わりましたが、
再起を続けるという前提だけは、
28歳のときから一度も変わっていません。

再起を途中で終わらせないために、
時間の大部分を使う場所を
選び直しただけです。

もし今、
転職を前にして立ち止まっているなら、
こう問いかけてみてください。

この選択は、
再起を続けるための手段になっているか。

それだけで、
判断の軸は少し整理されると思います。