今だから言えますが、
当時の私は「転職する勇気」がありませんでした。
簿記2級の知識はあった。
経理への興味もあった。
でも、自分に自信がなさすぎた。
・フリーター歴が長い自分なんて、誰も選んでくれない
・面接に行っても、笑われるんじゃないか
・正社員として働く自分なんて想像できない
そんな弱音ばかりが頭に浮かんでいました。
だから私は、逃げでもなく、挑戦でもなく、
それでも一歩前に進める“中間地点” を選びました。
それがアルバイト先の清掃会社での 契約社員 でした。
最善ではない。
キャリアとして正しいとも言えない。
でも当時の私には、それが限界であり、精一杯の“挑戦”でした。
そして意外にも、この一歩が
「社会にちゃんとつながれた」 と実感できた瞬間でもありました。
それだけで救われることもあるんだ、と気づけた時間でした。
契約社員という小さな一歩を選んだ理由
契約社員になってからの私は、
たいしたことはしていません。
現場で汗を流し、
時間と体力を使って働き、
家に帰ってから簿記1級の勉強を続けただけです。
でも――
この「働きながら勉強する」という生活が、
私の中に少しずつ “自信の土台” を作っていきました。
・初めて「自分の働きで給料をもらっている」と実感できた
・誰かの役に立てている感覚が嬉しかった
・現場の仲間に「ありがとう」と言われるだけで救われた
・毎日少しずつ積み上がる勉強が、未来のための投資に感じられた
完全な遠回りでした。
効率は悪かったと思います。
でも、
「自分はまだやれるかもしれない」
そう思えたのは、この時期だったのです。
一歩目は完璧じゃなくていい。
遠回りでも構わない。
大切なのは、“自分を前に動かす流れ” を作ることでした。
働きながら少しずつ自信が積み上がった
契約社員として働き始めた当時、
私の給与は 月18万円、ボーナスなし。年収にして約200万円 でした。
同年代の友人たちは正社員として働き、
安定した給料をもらい、結婚を考えたり、キャリアを積んだりしている――
そんな姿を横目で見ながら、
「自分は何をしているんだろう」と胸が締め付けられるような日もありました。
でも、それでも私は前に進めていました。
なぜなら、
フリーターのときには味わえなかった“社会との接点”が、自分の中に確かに芽生えていたからです。
勤務先の清掃現場で汗をかきながら仕事をしていると、
「自分は誰かの役に立っている」という実感が生まれました。
・任された仕事をやりきる
・「ありがとう」と言われる
・毎月決まった給料をもらえる
・責任を持って働く
それは当たり前のようでいて、
28歳まで社会経験ゼロだった私には、どれも新鮮で、嬉しくて、誇らしいことばかりでした。
夜は、帰ってひとり机に向かい、簿記1級の勉強を続けました。
正直、苦しい日も山ほどありました。
でも、現場で働くうちに、心のどこかでこう思うようになりました。
「この小さな積み上げが、いつか自分を助けてくれる」
月18万円の生活はぎりぎりでしたが、
それでも私は、その18万円を“自分の手でつかんだ最初の収入”として大切にしていました。
フリーターだった私が、
社会の中で役割を持ち、責任を背負い、働きながら勉強している。
その事実が、
わずかでも自分の自信になっていった のです。
そしてこの積み上げが、
後に本社経理への異動や、上場企業への転職につながる土台になりました。
遠回りでも必ず未来につながっていく
28歳の最初の一歩は、
華やかでも賢くもなかった。
・現場で契約社員
・働きながら勉強
・少しずつ積み上げ
・自信のかけらを拾い集める日々
この積み上げだけで、
31歳で本社の経理に異動できました。
さらにそこから実務を重ねて、
37歳でプライム上場企業へ転職できました。
だから今ははっきり言えます。
「遠回りだからこそ、たどり着ける場所もある」
人生は合理的じゃない。
まっすぐではない。
でも、
一歩だけでも動いた人にしか開かれない道がある。
そしてその最初の一歩は、
完璧でなくていい。
誰に褒められなくてもいい。
自分が「動き出した」と胸を張れるなら、
それが正解なんだと思います。
次の記事では、
「現場契約社員で積み上げたこと──働くことで取り戻す自信」
について書いていきます。
一緒に、前へ進んでいきましょう。